林けいこの老いの住まい
在宅介護を視点においたアドバイスや情報をお届けしています。
第9回
本人のヤル気を引きだす五つのコツ
 リハビリを続ける難しさは、本人と家族の、リハビリに対する温度差の違いから引き起こされることが多いようです。
退院が近くなると、本人もリハビリに力がはいります。本人が頑張っている姿をみると、家族も元気が沸いてきます。希望があると、心まで明るくなります。この状態を自宅に帰っても継続させることができれば本当にいいのですが、それがなかなか難しい。
病院で、2週間も寝ていると体力も、筋肉も、心肺能力も一気に落ちてしまいます。体の健康な部分でさえ、関節は堅くなり、動かすのにひと苦労です。まして病気で麻痺した部分のリハビリは本当に辛いことです。まずそのことを、介護する人は理解してあげてください。
リハビリはまず、きちんとリハビリテーション医学の医師の指導を受けてください。
この時期、本人とすれば、今まで元気に動いていた手足が動かないわけですから、心の中は大きな喪失感でいっぱいです。
失った能力を嘆く気持ちから、残っている能力に目を向けさせることが大事です
いいリハビリの先生は、残っている能力(残存能力といいます)を見つけ、本人にやる気を起こさせてくれます。こうした治療は時間も気力もいるので、個人的にリハビリを専門に開業されている先生のほうが適しているようです。そういう先生につくことが大事です。
リハビリの成果をあげるには、今後どんな暮らしをしたいのか、本人自身と家族が同じ目的をもつことです。目的によって、装着具なども大きく変わってくるので。
患者自身がリハビリに対してやる気満々であれば問題はないのですが、リハビリに精を出して欲しい家族と、ラクをしたい本人。このようにリハビリに対して温度差がある場合があります。このような場合、介護に携わる家族のほうがちょっと工夫したほうがいい。
第一のコツは、どんな小さなことでも、昨日できなかったことができたら、まずそのことを評価して、最大限に褒めてあげる。
最初は家族も熱心にほめます。が継続させることが難しい。
健康なひとにとっては、リハビリの成果は本当に小さな進歩です。それを毎回、毎回、心をこめて褒めつづけるというのはなかなか忍耐がいります。ややもすれば、聞き流してしまいかねません。しかし、そのことが本人のやる気をそいでしまいます。やる気をなくせば、あっと言う間に、寝たきり暮らしの始まりです。
本人にすれば、寝たきりで、お世話してもらうほうがラクなんです。
そうならないため、第二のコツは、ノートに記録すること。これは意外と効果があります。
第三のコツは、「機能が戻って、健康時に近づけば近づくほど、助かるのは介護をする家族なのだ」と、心の隅にしっかり書きとめておく。。そうすれば励ましの言葉も、結構スムーズにでてくるのものです。
第四のコツは、効果をあせらないこと。やる気のなさを責めないこと
雨や、寒い日はマヒの部分はいっそうしびれて具合がわるく、やる気も起きないものです。
リハビリが好きなお年よりは本当にマレです。自尊心やプライドのためにリハビリに励む方は極々、少数派だと肝に銘じておくとよいでしょう。
ただ家族が喜んでくれるから、痛い、辛い体にムチ打ってリハビリに励んでいるお年よりが多いです。
この段階で有効なのは入浴とマッサージです。
最期のコツは、お風呂に入った後、マッサージをしながら、「こうすればリハビリが痛くないからね」と語りかけながら手足をさすってあげる。そうすれば、お年よりの心が開かれて、リハビリに励んで欲しいという家族の思いが伝わりやすくなります。
すぐに成果がでなくても、根気よく続ければ、伝わった時の喜びはひとしおです。

トップに戻る