林けいこの老いの住まい
在宅介護を視点においたアドバイスや情報をお届けしています。
第13回
楽しく介護するには戦略も必要

 年末・年始休業が終わり、介護生活もいつもの暮らしに戻ったようですね。

在宅介護にたずさわる方から、「ヘルパーさんや、デイサービス施設のお休みで、日常のリズムが狂って大変だった」、「何か合ったらと、不安だった」、「無神経な来客でストレスが溜まった」などの声をいただきました。
なんといっても、休暇中のサポート体制の手薄さは問題です。体力ギリギリのところで介護をしているご家族にとって、ヘルパーさんの休暇は、不親切を通り越して、いつキケン領域に入るか分からないあぶなさをはらんでいます。介護保険を導入しているのですから、休暇中の代替サービスはきちんと提供するべきです。
心無い年始客に「腹が立った」という介護者の方から、参考になる話がうかがえました。
日ごろ介護など手伝ったこともない子供たち(夫の弟妹)が、休暇を利用して親元に顔を見せる。 いつも一緒にいないから、優しい言葉をかける。寒いから、風邪を引いてはいけないと、ベッドに食事を運ぶ。
それまで介護者が心を鬼にして進めてきた自立生活をめちゃめちゃにして、帰って行った。親も、時たまやってきて親切に振舞う子供たちの方が心地よいのか、「○○チャンは優しいね」(ワタシは鬼だとでも言うのか、と介護者の声)、「○○の世話になろうかね」(ぜひそうして下さい、と介護者の声)などと言い出す。優しい言葉とはうらはらに誰一人、親を抱えて入浴させる子供はいない。にもかかわらず帰り際に「一人で寝かせておくと夜中のトイレがあぶないから、あなたが同じ部屋で寝てあげて」と言い残して、と怒りがおさまらない様子。
腹が立つ気持ちはわかります。がひとしきり腹を立てた後は冷静になって、同居していない子供たちを、親の介護に組み入れるチャンスととらえてはいかが。
子供の親切に心動かされた親から、世話になりたいという声があがったのであれば、渡りに舟。介護のローテーションに入ってもらいましょう。お年寄りにとって、住み慣れた家を移るのがマイナスに働きそうな状況であれば、土・日だけ泊りがけで介護にきてもらうこともいいのではないでしょうか。その間、いつも介護に携わっているほうは、ホテルにでも泊まって、日ごろ、介護で出来なかったことを実現して、リフレッシュするのです。

介護「同じ部屋で寝る」ということに関しては、基本的に、介護している人は、それまでの夫婦の暮らしを変える必要はない。夫婦の暮らしがあって、親の介護ですから、断ってよい、と私は考えています。同じ部屋で寝ると、熟睡できず、過労の元にもなります。
しかし「夜中のトイレは危ない」というせっかくの申し出ですから、この機会にキケンをチェックしてはいかがでしょう。廊下の暗さが危ないのか、遠さなのか、段差なのか、寒さなのか、ご指摘の危なさの実体は何か、検討してみて、改善の必要があれば改善策を講じたらいいのです。部屋にポータブルトイレを置くことで改善するか、改装するか、夜中にトイレ介助のヘルパーさんに来てもらうのか。解決策には予算や人手が必要になります。それも、言い出した他の子供さんたちに分担してもらえばいいのです。
親の前でいい顔をした直後であれば、実際の介護の分担も応じてもらいやすい。
親の介護に、同居していない子供たちの参加をうながして、全員で介護するいい機会になるでしょう。
少なくとも、口は出すが、お金も、人手も出したくないという子供がいれば、そのけん制にはなります。
一人で腹を立てるより、冷静に戦略を練って、全員介護に持ち込んでください。それだけ心優しい子供たちであれば、介護に参加できてよかったと、親が亡くなった後、きっと喜んでもらえるはずです。


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