林けいこの老いの住まい
在宅介護を視点においたアドバイスや情報をお届けしています。
第15回
介護者の急病など、緊急時に備えて
今年もインフルエンザが猛威をふるい、介護がピンチになったお話が寄せられました。私も、3月から扁桃腺炎の高熱に悩まされ、仕事どころか、食事なども自力ではできない経験をして、人ごととは思えません。
在宅で介護をしていく場合、介護者の病気などの備えを、常日頃から対策しておくことが大事です。
対策のポイントは、インフルエンザのような伝染性に病気の場合、お年よりにうつらないよう、病人は、早めに介護の現場を離れること。また周囲の人たちも、介護者が治療に専念できるように、フォロー体制を迅速に整えることが必要です。
そのためには、介護を肩代わりしてくれる人を確保しなければなりません。
家庭内に介護のピンチヒッターがいれば問題はないのですが、多くのご家庭では、息子さんの奥さんが介護を担当し、息子である夫は会社員というケースが多いのではないでしょうか。
介護を担当する奥さんから「なんとなく体がだるい」という訴えがあったらすぐに、緊急時に備えて対策を立てる気持ちを持つこと。まず介護者本人を病院に連れて行った時に、病気の種類を知り、生活の注意点や、今後の見通しを医師に聞きます。
お年寄りが寝たきりで、食事やトイレの介助が必要な状態であれば、すぐにも代わりの人が必要になります。まず夫本人や家族、夫の兄弟姉妹の中に、介護を担当できる人がいないか、見渡します。該当する人がいれば、事情を話して、どれだけの期間なら介護に携わってもらえるかを確認します。
また在宅で介護をされていたのであれば、介護保険を利用してヘルパーさんなどに来てもらっているはず。市町村役所か、担当のケアマネージャーへ連絡します。介護者が急病である旨を伝えれば、イレギュラーですぐに対応してくれるようです。
ケアマネージャーを交えて対策を立てる場合、もし介護者の病気治療が長引きそうだったり、あるいは介護を肩代わりしてくれる人がいなければ、介護老人保健施設などのショートステイを利用することを勧められるかもしれません。
この時、介護を受けているお年よりに、介護者が病気になったことを説明して、施設を利用することを納得してもらうことが大事です。このとき何日間利用するか、将来に対する見通しもきちんと説明します。
介護を受けているお年よりにすれば、介護者が代わるだけでも、毎日の生活リズムが変調して不安な気持ちになります。そんな時、状況がよく分からないまま、見ず知らずの施設に移されたら、このまま見捨てられるのではないか、など不安が大きくなり、体の変調につながりかねません。
デイサービスなどを利用して楽しい経験をした施設があれば、お泊りの利用もすんなり応じてくれるのではないでしょうか。
施設に移っても、なるべく自宅と同じ生活が続くことが望ましいことはいうまでもありません。そんな時、日常生活の記録があれば非常に役立ちます。
日常生活の記録(※詳細は下記に)を施設の担当者に渡せば、今までとあまり大きな変化がないよう、食事なども用意してもらえます(特別食の場合、別料金になるところもあります)。
どうしても本人が施設に移ることをいやがる場合、家政婦協会の家政婦さんに24時間体制で来てもらうという方法もあります。1日1万円は必要ですが、人手がない場合、利用価値があります。
家政婦協会も、居宅サービス事業者の登録がされていれば、介護認定の範囲内は保険がおります。ケアマネージャーにその旨伝えれば、介護保険の1割の自己負担と、はみ出した費用部分を負担することで利用できるので、緊急時には役立つでしょう。

緊急時に備えて用意しておくと便利なもの
1.日常生活の記録(※)
1日(24時間)のスケジュール表(日付・曜日)
●起床時間(記録者名)
洗顔や歯磨きなどの方法(洗面器で自分で、タオル清拭など生活内容は○をつけるようにしておく)
●食事時間(記録者名)
食事内容(朝・昼・夜の3食が、普通食・刻み・すりつぶし、嚥下食品の使用。減塩食など治療食を摂ったか。自力・介助、上体を起こして、横になって、全部、半分、少量など、に○をつける)
●薬の服用時間(薬名)(記録者名)
●排泄時間(記録者名)
(大・小便、下痢・便秘ぎみなどの種類・排泄の方法/トイレ・ポータブルトイレ・尿器、おむつ、などに○をつける)
●リクリエーションの時間(記録者名)
(散歩や読書、毎日している運動やリハビリ、おやつなどに○をつける)
●入浴時間(記録者名)
 入浴方法(家族が一緒に入浴、ヘルパーさんの介助で入浴、車イスでシャワー、部分浴、タオル清拭、などに○をつける)
●就寝時間(昼寝も夜間の睡眠記録する)(記録者名)
●ヘルパーさんの入った時間(ヘルパーさんに記入してもらうとラク)
●往診を受けた時間(記録者名)
●来客など訪問を受けた時間(氏名・関係)(記録者名)

以上の内容を、
上にタイトル(日付け・曜日)
左側に、円形の24時間スケジュール表(ここに生活時間と記録者名を書き込むようにする)。
右側に、生活内容を○をつけるだけにした表、
下に一日の記録(体温や血圧、お通じの有無)を書き込むフォーマットを作り、
1日1枚、コピーした記録帳をバインダーに綴じて使用する。

2.服用薬リスト
●持病と使用している薬名や注射(糖尿病の場合)・使用時間
●往診日
●透析や定期検診など通院が必要な日

3.連絡先
介護認定のホームドクター名(医院名)
その他、薬などをもらって医院
院外処方してもらっている薬局
往診などをしてもらっている歯科医院
ケアマネージャー
在宅介護センター
家政婦協会
家族の昼間の連絡先や携帯電話(本人との関係が書かれていると便利)
その他、親族などの連絡先
タクシー会社
その他
1の11項目を記入した毎日の記録と、2の使用している薬、3の連絡先を1つのバインダーにまとめて、施設に渡せば、くどくど説明しなくても、当人の状況を理解してもらえるので便利です。

3.お泊りセット
保険証セット(高齢者医療証・介護保険手帳・認印)
洗面用品セット(石鹸。歯磨き。手鏡。シャンプー。フェースタオル、バスタオル)
寝巻きと下着、オムツカバーなど(前もって名前を刺繍しておくとよい)
昼間の服(スェットスーツなど)
食事セット(箸やスプーン、フォーク、湯のみ、急須、フキンなど)
履物(スリッパ、脱ぎ履きしやすい上履き)
ティッシュ
消毒用のティッシュ(集団生活で耐性のない雑菌に感染することも多く、こまめに消毒するのに使用する)
ハンドクリーム(皮膚の乾燥や、アルコール消毒のあれを抑える)
ハンガー(タオルを干すのにも使用)
時計
ラジオまたはテレビ
クッション
<使用している人の場合>
ポータブルトイレ・車イス
紙おむつ
忘れ物を取りに帰ったりすることのないよう、入所に必要なものを一箇所にまとめておきましょう。ヘルパーさんなど、誰にでもわかるよう、入れている引出しには見だしをつけておくといいでしょう。

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