林けいこの老いの住まい
在宅介護を視点においたアドバイスや情報をお届けしています。
第3回
収納、連絡先、経済対策、元気な間に準備しておくこと
在宅で老いを迎える場合、まず家の中を安全にするところから始めます。
「最近、つまずいたか個所」といった、家の中のキケンリストをもとに、簡単なお片づけから始めれば、親も子も、それぞれ自分の考えを伝えやすいと思います。
最近、物忘れが増えているようなら、収納を工夫します。
何が入っているのか、引き出しの表に見出しをつけます。
見出しに番号を振っておくのがミソです。
番号と見だしと、中に入れているもののリストを作っておけば、誰が介護にきても、そのリストを張り出しておけば、何がどこにあるか、いちいち説明しなくても分かります。
台所の調味料にも見出しを。
特にお塩とお砂糖は必ず見出しをつけておくように。せっかくおいしいものを作ってあげようとして、お塩とお砂糖を間違えるほどがっかりすることはありません。
台所に立つのが本人一人の場合は、どこに何が入っているか分かっているので必要ありませんが、ヘルパーさんなどに来てもらうようになった時この見出しが役立ちます。
こういったことは、介護が始まってからでは、時間がなくてできません。介護が始まる前、まだ元気なうちにやっておきます。
親の誕生日や敬老の日、お盆やお正月の帰省の折、本人と関係者(子どもたちや子どもの配偶者、孫など)が集まった時、一斉にやるような習慣をつくっておくといいでしょう。子供と同居している場合でも、見出しは役立ちます。
それを、1年に1回ぐらい、定期的に見直します。病院へ行くときの持ち物なども、まとめて収納しておきます。急に入院することになっても、何番の引き出しに入っている物一式を持ってきて欲しいといえば、後から届けることができます。
誰もが家の中の収納に関わってくると、金庫のような、大事なものを入れておく場所を用意しておいたほうがいいです。
連絡先リストも役立ちます。特に病院関係のリストはぜひ作っておいてください。持病をもっている方は、かかりつけの医院。血圧が高い方は、万の場合、すぐに連絡してほしい脳神経科のある病院の電話番号を書いて、誰にでも分かるところに張っておきます。
こうしたリストや見出しは費用もかからず、簡単にできて、役に立ちます。
体力がさらに衰えると、階段に手すりを付けたり、トイレを暖房便座に代えたり、玄関での靴の脱ぎ履きにベンチを付けるなど、家の中の安全確保にも少しずつ費用が発生してきます。
こうしたリフォームの費用をどうするか。それは将来の介護費用にも関係してきます。多くの家庭で、介護についての話を避ける傾向がうかがえるのは、将来、介護費用が発生した時、どれだけ負担できるか分からないから、といった声も聞きます。
介護費用は、2000年に公的介護保険がスタートした時、本人が負担するという基本方針が出されました。本人に、年金や蓄えがあり、負担できるようであれば、リフォーム費用も本人負担が基本だと思います。
親子の間でも、金銭にけじめをつけることは将来、本格的な介護が発生したときに重要になります。
介護問題は、経済問題と言い換えていいぐらいです。
私たちはお金について話し合うことが苦手です。そのため、介護の話自体を避けてしまいがちです。が話を避けるのではなく、介護費用等は本人負担を基本に据え、足りない部分がどれぐらいかを正確に把握して対策を立てる。
子ども達も、自分達が負担できる範囲をきちんと把握して、話し合いできるようにしておくことが大事です
最初は訓練するぐらいのつもりで、気軽に話し始めみてはいかがでしょう。
例えば、今回は、リフォーム費用の半分は、子ども達が敬老の日のプレゼントとして負担するなど、そのつど解決策を積み上げていけば、本格的な介護が訪れたとき、割り切ってお金の話ができるようになります。
介護認定を受ければ、リフォーム費用の一部を介護保険から出してもらうことができます。
いよいよ次回から、実際の介護が始まった場合の対策についてお話していきます。

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